松井研の小栗です。2023/10/09-11にスペインのアコルーニャにて開催されたSISAP2023に参加しました。私は学会に併設された近似最近傍探索のコンペティションであるIndexing Challengeに参加し、一部トラックで2位を獲得し、Solutionをまとめた論文がShort Paperで採択されました。今回はその発表のために学会に現地参加しました。コンペの参加記についてはこちらをご覧ください。

初めての国際学会参加でしたが、自分の発表経験、他の発表からの学び、他の参加者との交流など、さまざまな貴重な経験を積むことができました。以下に学会参加記をまとめます。

学会の概要

SISAPは類似度検索の理論と応用に関する学会です。論文数は20-30程度と比較的小規模な会議でありながら、CORE Bに選ばれている会議です。学会は3日間で、全ての発表が口頭発表のみで構成されていることが特徴でした。また、各日程の夜に交流会が設けられており、参加者同士の交流が盛んに行われていました。今年度の参加者はほとんどが大学からの参加で、企業からの参加は非常に少なかったです。工学的な面だけでなく理論も重要視している学会で、理論研究に関する発表も見られました。

自分の発表

英語での口頭発表は初めてでしたが、準備の甲斐もあって満足のいく形で終えることができました。小規模な会議であるおかげで他の参加者の発表を記憶しやすく、コミュニケーションも取りやすいため、Q&Aセッションの後にも直接話しかけられて指摘をもらうことが多くありました。

雰囲気としては、かしこまりすぎず、ガンガン質問が飛んできて、何なら発表中に割り込んで質問する人もいる、という感じでした。口頭発表というのはポスター発表に比較するとインタラクティブな議論が生まれにくいと思うのですが、このような雰囲気があったおかげで、議論が生まれやすい環境だったと思います。

他の人の発表

どの発表も非常にクオリティが高かったです。まさに少数精鋭という感じでした。企業からの参加が少なかったため、産業応用の研究はほとんど見られず、アカデミック色の強い発表が多かったです。中でも印象に残ったのは、博士課程で取り組んでいる内容を理論・実験ともにしっかりやってFull Paperに通した上で、その手法を洗練させてコンペティションでも良い成績を残す、というチームが複数あったことです。実際そのようなチームはAwardにも選ばれていました。理論を重要視する学会でありながらも実践的なコンペティションが併設されていることで、理論と実践の両方を重視する研究者が多く集まっている良い学会だと感じました。

英語

自分の発表については、英語力は特に問題なかったと感じました。イタリアやチェコなどの参加者から直接私の英語を褒めていただくこともありました。しかし発表が終わった後に隣の人に小声で質問されたときに聞き取れなかったり、夕食の場での会話についていけなかったりと、英語力の不足を感じる場面が多々ありました。

他の参加者については、参加者のほとんどがヨーロッパ圏の人で、英語のネイティブスピーカーは非常に少なかったです。そのため初めて聞く訛りの英語が多くあり、聞き取りに苦労しました。しかし同時に、みんなが英語に苦労しているからこそ、お互いのクセのある英語を理解しようという流れがあり、全く置いて行かれてしまうということは起こりませんでした。

一部雑談では、ヨーロッパ文化の知識がないが故についていけなかったり、場を完全に持って行かれて相槌しかできなかったり、といったこともありました。結局のところ、言語によらないコミュ力、勇気、背景知識が大事だと感じました。他の多くの日本人と同様、私の英語力は大学受験とTOEFL対策で構成されていたため、スピーキングには不安がありました。しかし今回の経験で割と自信を持つことができました。これからも積極的に機会を見つけて英語力を向上させたいと思います。

交流

学部生かつ日本人という属性が珍しかったため、そのコンテンツ力で乗り切りました。小規模学会のため、特に学生はほとんどの人と話すことができ、とても楽しかったです。文化トーク、研究トーク、将来の進路など、色々な話題について話しました。仲良くなった学生たちで学会終了後に観光をしたり、ご飯を食べに行ったりしました。非常に良い思い出になりました。

また、1,2日目のセッション終了後に現地のガイドによるツアーがあり、アコルーニャ市内と、近隣のサンティアゴ・デ・コンポステーラという街に訪れました。どちらも非常に美しい街でした。このようなツアーがあったおかげでバスで仲良くなったり、歩きながら喋ったり、、というコミュニケーションの機会が生まれやすく、非常に良かったです。

まとめ

学部4年の早い段階で国際学会で発表する経験は非常に貴重でした。発表内容に対するフィードバックだけでなく、コミュニケーションや進路などについて多く刺激を受けました。これからも研究を頑張っていきます!