松井研究室のM1の奈良です.8月6日から9日にかけて熊本城ホールで開催されたMIRU2024という学会に参加しました.私自身は2つの研究テーマで発表し,その結果,学生優秀賞という賞をいただくことができました.今後の研究活動のモチベーションが上がる素晴らしい会議だったので,こちらに感想を記したいと思います.

初日には,トップ会議採択者による招待講演と,3名の先生方によるチュートリアルが行われました.招待講演では,同じ研究室の博士課程の方々が多く登壇しており,日々優れた環境で研究に取り組めていることを改めて実感しました.また,トップ会議に論文が採択されるまでの苦労や普段の研究マインドなど,通常の研究発表では聞けないような面白い話をたくさん聞くことができました.チュートリアルの中では特に,大谷まゆ先生の評価方法に関するお話が印象に残っています.私も日々の研究活動で評価方法に悩むことが多い中で,真に誠実な評価方法とは何かを考えることの重要性を再度認識しました.

2日目以降は,投稿論文のオーラル発表・ポスター発表が行われました.どの研究も本当に興味深く,楽しく発表を聞くことができました.私は特にAI技術の社会実装についての発表が好きで,ポスター発表の時間はずっと企業ブースのエリアをうろうろしていました.実際にAI技術をサービスに組み込んで活用するために本気になっている企業の方の話は,自身のキャリアを考えるきっかけになりました.

私自身はMIRU2024に2本の論文を投稿し,2日目にオーラル発表とポスター発表,4日目にポスター発表を行いました.

2日目では,"Human-drawable and Interpretable Attack" というタイトルで発表を行いました.研究内容は簡単に言うと,「人間が落書きとして再現しても誤分類を引き起こせるような敵対的攻撃を生成する」というものです.オーラル発表の前は会場の広さに圧倒されて非常に緊張しましたが,本番ではとてもうまく発表できました.私の研究テーマが受け入れてもらえるかどうか心配でしたが,その後のポスター発表で「とても面白かった」「投票した」という多くの肯定的なフィードバックをいただくことができ,本当に嬉しかったです.また,分野に精通した方々から貴重なアドバイスをいただき,今後の研究の方向性についても展望を持つことができました.

4日目では,"CLIPと適合性フィードバックによる対話的検索システム" (arXiv) というタイトルで発表を行いました.研究内容は簡単に言うと,「近年の技術であるCLIPと古典的な技術である適合性フィードバックを組み合わせることで,画像エンコーダの訓練なしで高い検索精度を実現できる」というものです.こちらの発表でも「面白い」という意見を多くいただけた一方で,分野の専門家から評価手法についての厳しい指摘も受けることもあり,自分の研究の未熟さを痛感しました.幸運なことに,こちらの研究テーマは TradiCV (ECCV’24 Workshop) に採択されました.TradiCVでの発表に向けて,さらに分かりやすく丁寧な研究発表ができるように練習したいと思います.

最終日の表彰式にて,私は2日目に発表した "Human-drawable and Interpretable Attack" のテーマの方で学生優秀賞をいただくことができました.面白い研究が無数にあるこの学会で,このような賞をいただけるとは夢にも思ってなかったので,受賞した瞬間は本当に驚きました.熱心に指導してくださった松井先生,いつも温かく見守ってくれたラボの同期や先輩,私の研究を評価してくださった審査員の方々にはとても感謝しています.修士課程でも面白い研究ができるよう,今後も一層研究活動を頑張りたいと思います.