松井研M2の仁科と申します。どうやら半年ぶりのブログ更新のようですね。CVPR2024で開催されたワークショップで発表するという大変貴重な機会をいただいたので、会議に参加した感想を書きたいと思います。

CVPR2024は6月17日から21日までの期間にアメリカ西海岸のシアトルで行われました。私はその中で初日に行われたWorkshop on Graphic Design Understanding and Generationにてポスター発表を行いました。期間中は研究発表を聞いたのはもちろんのこと、多様なチュートリアルや基調講演が開催されていたのでそれらにも参加してきました。

初日と2日目にはチュートリアルとワークショップが開催されました。この期間には多数のイベントが同時並行で開かれるのですが、どのイベントにも多くの人が参加していました。会によっては参加者が椅子に座りきれず通路に座って講演を聞いていたり入場規制がされて部屋の外に列ができるほどでした。会場はSeattle Convention Centerという大きな会場でしたが、それでも溢れるというのはCVPR、ひいてはComputer Visionの分野の盛り上がりを表していると思います。

私はこのたくさんあるセッションの中でどれに参加するのが良いのか非常に迷いましたが、大規模言語モデルなど自分の研究に関連するところを狙って参加しました。さらに、研究する上で不足している基本的な知識をこれを機に補おうという気持ちで基礎を解説する内容のものを優先的に選びました。参加したイベントではどれも特定の分野における基礎知識から入って研究の潮流がわかりやすく説明されるので非常に勉強になりました。これらの講演の中で理解しきれなかった部分についても帰ってきてから過去のチュートリアルなどの録画を見るきっかけになりさらに理解を深めることができたと感じています。

ワークショップではポスターセッションがありますが、CVPR2024では1つのポスター会場に複数のワークショップのポスターが掲示される形で様々なポスターを見て回ることができました。私も少し時間をとって見て回りましたが、どれもとても興味深い内容でポスターを写真に収めてノートに色々メモしていきました。著者の方に少し質問をすることもできたいい経験になりました。「本会議の方でも発表するから見に来てよ!」という方もいて良い雰囲気だったなと感じました。

私自身のポスター発表は初日の夕方にありました。初めての海外発表ということで、ワークショップの基調講演の頃から緊張しっぱなしでした。時差ボケが治りきっておらず頭が回っていなかったのか、肩にかけていた鞄を下ろし忘れたまま発表をしていたようです。今写真を見るとすごい恥ずかしいですね(笑)。それでも、ポスターを見に来てくださった方はどなたも熱心に説明を聞いていただき質問も様々いただきました。予め論文を読んでいただいた方もいて、嬉しかったと同時に外に出すことで見てくれる人がいるということを実感しました。1つ後悔しているのがどんな質問をされたのかメモをし忘れていたことです。そのためにメモ帳も準備していたのですが、その時は説明と質疑応答に必死でした。

3日目から本会議が始まりました。本会議は3日間で、午前中に口頭発表とポスターセッション、午後には口頭発表の後に基調講演やパネルディスカッションを挟んでポスターセッションという流れでした。口頭発表はいずれも背景となる知識から入って手法の説明が簡潔にわかりやすく行われるので、あまり馴染みのない領域の研究でも理解しやすかったように思います。これもそれぞれ発表者の方がスライドや話の流れに工夫を凝らしているからだと思うと普段研究室で言われる「普段のスライドから本気で作らないと本番で作れない」という教えの重要性を改めて感じます。

ポスターセッションはワークショップのセッションと同じ会場で行われ、ここでも違う領域のポスターをまとめて見ることができました。ただしそれまでとの違いは、会場にいた人の数が大きく増えていたという点です。ポスターの間を移動するだけでも一苦労なくらいの混雑でした。その中で参加者同士がポスターを見ながら議論されていて雰囲気に圧倒されました。私も何回か発表者の方に質問ができました。発表者の方にとっては基本的な質問だったかと思いますが、親切に答えてくださったのはとてもありがたかったです。

基調講演やパネルディスカッションも非常に惹かれる内容でした。基調講演ではComputer Visionの技術が他の分野(研究に限らず)にどう影響を及ぼしているのか、そしてパネルディスカッションではCVの分野およびCVPRが今後どうあるべきかという内容だった印象です。特に記憶に残ったのは最終日のパネルディスカッションで、CVPRの歴史およびCVPRが今後どうあるべきかといった内容が議論されていました。4日目にあったPAMI TC Meetingの様子も含めて、こうした議論が長く重ねられることでこのコミュニティが大きく発展してきたのだろうと感じとりました。

シアトルでの5日間を通じて私は学会に現地で参加することの意義を感じました。具体的には、自分の研究とはあまり関係のない領域からのインスピレーション・他の人との思わぬつながり・他の研究者の熱量と雰囲気の体験です。日頃研究室で論文を読んだり同じ研究室の人たちと話しているだけでは得られないものだと思います。また、学会参加を経て英語力の不足を痛切に感じました。発表の内容が聞き取れなかったり質問が英語で表現できなかったりしていたのを見ると研究力を上げるためには英語力を上げることは必須なのだろうと思います。日本語だけで生活・勉強できる幸せに甘えるばかりではなく、機会を見つけては英語を使っていきたいと思います。

今回の学会参加で見聞きしたことを整理していたらいつの間にか2週間ほどが経ってしまいました…。でも学んだことをしっかり活かして修士論文を作り上げたいと思います。最後に、このような機会を作っていただいた松井先生およびアドバイスをくださった研究室の皆様に改めて感謝申し上げます。