松井研M1の小野です.本記事は,SIGGRAPH Asia 2021への参加記です.

12月の14から17日にかけて,SIGGRAPH AsiaというCG系の国際学会が開催されました.(なんと1か月以上前です.書くのが大変遅れてしまいました…)私はそこで卒論時の成果について発表を行いました.実は,このSIGGRAPH Asiaはオンラインと東京における現地参加のハイブリッドで開催されました.コロナ禍において,国際学会に現地参加できることは珍しいです.せっかくの貴重な機会だったので,会場に行って展示を見てきました.以降は発表と現地イベントの様子について紹介していきます.

初日はTechnical Communicationというプログラムで自分の発表を行いました.現地ではなくオンライン上での発表でした.私にとって初めての国際会議でしたが,出来はそれほど良くありませんでした.やはり,英語での質疑応用にはかなり苦戦しました.質問がなかなか聞き取れないことで焦ってしまい,余計に聞き取れなくなりました.当たり前ですが,英語はちゃんと勉強した方が良いです.

発表を終えて,15,16日に現地開催のイベントに参加しました.会場は,有楽町のあたりにある東京国際フォーラム(下の画像の左)でした.会場が広かったので,どこに行くべきか分からず最初は迷っていました.ちょうどホールで発表が行われるということだったので,ひとまずそこに入りました(下の画像の右).ホールと言っても発表者の方が現地に来ているわけでは無く,オンライン上での発表を大きなスクリーンで視聴する形でした.内容は,リアルタイムレンダリングを3Dアニメーション制作に取り入れる話でした.分野に馴染みが無く,内容はあまり理解できませんでした.ただ,リアルタイムレンダリングの導入が制作工程を大きく変えているのを見ると,改めて高速化というのは重要だと感じました.今の自分の研究テーマは高速化系なので,こういった発表を見るとモチベーションが湧いてきます.

次に行ったところは,大学の先生方がSIGGRAPH Asiaの論文を解説してくださるというイベントです.要点をまとめられた日本語での解説だったので,特に知識がなくても気軽に聴けました.ちなみに,自分の論文が紹介されてボロボロに言われたときのために,いつでも逃げられるような準備をしていました(結局出てきませんでした).個人的に面白いと思った研究は,実際の絵の具の混ざり方を再現する研究です.岩絵の具のように,高価で手を出せない画材を気軽に試せるようになれば嬉しいですね.

残りの時間は地下の展示ブースを回っていました.下にその様子を載せます.展示ブースでは,HCI系の研究成果を実際に体験できました.HCI系の研究の幅の広さに魅力を感じる一方で,幅の広さゆえに研究テーマを決めるのは大変そうだと余計なことを考えていました(私がふらふらしているだけでしょうか?).研究成果はもちろん,企業が新しいデバイスを展示していたり,映像作品のようなものもありました.コロナの影響もあってか,遠隔地とのつながりを意識した研究が多いように感じました.

ここからは実際に体験したものをいくつかご紹介します.撮った写真が思ったより少なく,もっと写真をたくさん撮って来ればよかったと反省しています.左下の写真に写っているのは,デジタルハリウッド大学の展示ブースです.裸眼で見える立体視ディスプレイを体験してきました.目の位置を検出して光線を飛ばすようなのですが,前髪とマスクが邪魔していたので,認識させるのに少し苦労しました.右下の写真は同じくデジタルハリウッド大学の展示ブースに置いてあった3Dプリンターで作った作品です.すごい….

続いて,左下の写真は炎色反応を体験できる装置です.空中像として映し出された炎に金属棒を入れると,炎の色が変わります.熱くないので,安全に炎色反応を学ぶことができます.こういう研究が発展していくと,将来はオンラインで実験の授業をしたりするのでしょうか?とても夢があります.写真には撮っていないですが,触れる空中像も体験してきました.超音波をうまく1点に集めて触感を作り出すようです.実際に触ってみると,静電気と風の中間のような,不思議な感覚でした(全く痛くないです.念のため).また,ちょくちょく話題になっているVWindも体験してきました.VR空間で耳に息を吹きかけられる体験ができるという,イケてるアプリケーションです.皮膚にうまく熱を当てられると,風が当たったと錯覚するという現象を利用しているそうです. 最後に,ゲーム系の展示について少し紹介します.まず,日本ゲーム大賞U18部門の優秀作品を実際に遊べるコーナーです.どれもアイデアが面白く,人が少ないのをいい事に長々と遊んでいました.また,新しいものだけでなく,昔のゲームも展示されていました.右下の写真はインベーダーゲームの筐体に入っていたCPUです.当時は喫茶店のテーブルがゲーム機になっていたというお話がとても新鮮でした.

以上がSIGGRAPH Asia 2021への参加記になります.オンラインではなかなか出来ないインタラクティブな体験ができたため,とても楽しいイベントでした.私が在学中は現地イベントが開催されることはないかもしれませんが,引き続き学会に論文を通すことを目標に頑張っていきたいです.